
熊本県阿蘇郡高森町上色見から学んだ「人とのつながり」の大切さ。
はじまりは、地元・福岡県みやま市での一件の中古住宅
今回のお話の始まるは、私の地元である福岡県みやま市で、中古住宅の不動産仲介をさせていただいたことがきっかけでした。
その物件の売主様であるK様とのお話の中で、ふとこんなお話を伺いました。
K様「実は、熊本県阿蘇郡高森町に別荘を持っているんだけど、そこもいずれはどうにかしないといけなくてね。」
当時、私は熊本県菊池郡菊陽町で不動産会社を立ち上げて間もない頃でした。
高森町であれば、決して遠い場所ではありません。
そこで、
「もし、お困りになることがありましたら、ぜひ私にご相談くださいませ。」
とお声をかけさせていただきました。
それが、高森町上色見の地を知る最初のきっかけになったのです。
2024年7月。
K様から別荘の場所や可能な限りの資料をお預かりし、売却に向けて少しずつ準備を始めることになりました。
お預かりしたこの物件が、今まで私が携わった案件の中でも難易度の高い物件になることを、この時の私はまだ予想していませんでした。
この別荘地は、約30年前に土地開発された場所になります。
当時の別荘地では建物が未登記となっているケースもあり、さまざまな課題を抱えていることがあります。
こちらの物件もその一つでしたので、売り出すまでの準備にはかなりの時間と費用を要したのを今でも覚えています。
売り出すまでに準備したこと
主に、次のような手続きや調査を行いました。
- 土地の地目変更(山林⇒宅地へ)
- 土地の現況測量
- 確定測量ができない土地であったため、可能な範囲で最善の測量方法を検討。
- 土地の前面道路が私道で、26人の共有道路となっていたため、全員による立会は困難と判断。
- 未登記だった建物の登記
- 建物図面を書き起こし、高森町役場の税務課との調整も必要となりました。
- 未登記建物の場合、所有者を明確にするための証明書類がとにかく多いのです。
- 建物の建築図面と建設会社の調査
- 建物の不具合等の設備調査
- シロアリ調査、駆除・消毒・防除作業の実施
- シロアリの存在は確認されませんでしたが、今後の買主様の負担を軽減するため、売主様による施工を実施しました。
簡易的に書き出すと、このような手続きが必要でした。
契約・引き渡しに際してはさらに必要なことがありましたが、ここでは省略します。
大切に使われてきた高森町の別荘
高森町は、阿蘇五岳の南東側に位置し、豊かな自然と涼しい気候に恵まれた地域です。
特に上色見周辺は、木々に囲まれた静かな環境が広がり、夏場でも比較的過ごしやすく、別荘地としても魅力のある場所です。
近くには、幻想的な参道で知られる「上色見熊野座神社」をはじめ、高森湧水トンネル公園、南阿蘇鉄道、月廻り公園、根子岳周辺など、高森町ならではの自然や観光資源があります。
K様も長年、この別荘を大切に使ってこられました。
建物は築20年ほどで比較的きれいな状態を保っていましたが、K様ご自身もご高齢になられ、福岡市内周辺のご自宅から高森町まで車で通うことがだんだんと難しくなってきたことから、思い出の詰まった別荘を手放すご決断をされました。
約1年かけて、無事に次の方へ
売却を進めるにあたっては、さまざまな課題をクリアしていかなければなりませんでしたが、最終的には地元の法人様にご購入いただくことができました。
売主様も、慣れ親しんだこの土地にある企業様にご購入いただけたことが、とても嬉しかったようです。
ご相談をいただいてから約1年
時間はかかりましたが、無事にお引渡しを終えることができたときは、私自身もとても安心したことを覚えています。
しかし、この高森町上色見では、この一つの別荘で終わりではありませんでした。
むしろ、ここから新しいご縁が始まっていったのです。
二つ目のご縁─別荘地の管理人H様との出会い
二つ目のご縁は、1件目の別荘の調査などを進める中で出会った、別荘地の管理人H様から始まります。
K様の別荘の不動産仲介を進めていく過程で、その別荘地内に住みながらこのエリアを管理されていたH様と知り合いになりました。
物件のことや地域のことについていろいろとお話をさせていただく中で、H様から、
「隣地の空地になっている土地を購入したいので、地主さんを調べて交渉をお願いできませんか。」
というご相談をいただきました。
そこで地主様を調べ、実際に訪問してお話をさせていただき、最終的には土地の売買契約へとつながりました。
これが、上色見での二つ目のお取引となりました。
1件目の別荘地売却をお手伝いしたことが、新しい土地取引につながった瞬間でした。
三つ目のご縁─真向いにあった空き別荘
さらにH様から、
「実は、向井川に空き家になっている別荘があります。」
とお話をいただきました。
所有者様もご高齢で、そろそろ処分をしたいとのことで、当社をご紹介してただきました。
こちらの物件も、売却までの道のりは決して簡単ではありませんでした。
1件目と同様に未登記建物であることに加え、さらに大変だったのが、30年前に建てられた別荘が、その10年後に再度建て替えられており、その時の記録がまったく残っていなかったことでした。
長くなるので詳細は省きますが、役所(税務課)との調整がとても大変だったのを覚えています。
高森町の税務課の方とは、調整の中で意見が合わないこともありました。
しかし、何度もやり取りを重ねる中で、今ではすっかりと顔と名前も覚えてくださり、良い意見交換ができるまでになりました。
不動産の売買は、広告を出して買主様を探すだけが仕事ではありません。
「安心して次の方へ引き継げる状態をつくること。」
それも、仲介する私たちの大切な役割だと思っています。
こちらも約1年ほど時間をかけ、無事に買主様が決まり、お引渡しを終えることができました。
新しい方の手で生まれ変わった別荘
そして先日、現地を訪れた際には、購入された方がきれいにリフォームをされていました。
以前の状態を知っているだけに、その姿を見たときには、とても感慨深いものがありました。

買主様が私にも、
「ぜひ、中を見ていってください!」
と笑顔で招き入れてくださったときの、満面の笑みが忘れられません(^^♪
古くなった建物が、新しい方の手によって、また命を吹き込まれていく。
中古住宅の仕事をしていると、こうした瞬間に出会えることも一つの喜びです。
そして、四つ目のご相談へ
さらに驚くことに、最初にご購入いただいた別荘の方から、もう一つのご縁が生まれました。
隣地の土地を所有されている方が、たまたま遠方から現地を訪れた際、その住人の方とお話をされたそうです。
その中で土地を売りたいという話になり、
「売られるなら、この不動産会社に相談したらいいですよ!」
と、当社のことをご紹介してくださったのです。
後日、その所有者様から私のもとへご連絡が入り、土地売却のご相談もいただきました。
その所有者様は現在、長崎県南島原市にお住まいで、こちらの方もご高齢になられています。
たまたま先日、熊本に来られた際に土地を見に来られたそうです。
これが、高森町上色見の別荘地で四つ目のご依頼となりました。
こちらの土地は、まだ次の方へのお話は決まっていませんが、良いご縁があると信じています。
ご縁は、日々の仕事の積み重ねから生まれる
振り返ってみると、始まりは地元福岡県みやま市での一件の中古住宅の不動産仲介でした。
そこから高森町の別荘売却につながり、土地売買、別の空き別荘の売却、そしてさらに隣地の売却相談へ。
ひとつのご縁が、また一つのご縁を呼び、そのつながりが少しずつ広がっていきました。
営業をしていると、
「どうすれば仕事が増えるのか」
と考えることがあります。
けれど今回の経験を通して改めて感じたのは、近道を探すよりも、目の前のお客様のご相談に誠実に向き合うことが、結果として次のご縁につながるということです。
売却まで時間がかかることもあります。
すぐに答えが出ない問題もあります。
それでも一つひとつ丁寧に取り組み、お客様に安心していただける仕事を続けていく。
その姿を、周囲の方が意外と見てくださっているのかもしれません。
今では高森町は、私にとって単なる仕事の場所ではなくなりました。
訪れるたびに顔を思い浮かべる方がいらっしゃって、ご挨拶できる方がおられ、また来たいと思える場所になりました。
一件の不動産取引が人とのつながりを生み、その土地そのものを大切な場所に変えてくれた。
これからもこの仕事を続けられることへの感謝を忘れずに、一つひとつのご縁を大事にしていきたいと思います。
そして、いつかまた、この高森町上色見で新しいご縁に出会えることを楽しみにしています。
そんな思いを込めて、この地域の神社へ自然と足が赴くのかもしれないなと、近頃はよく思っているところです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
これからも日常のひと時を書いていこうと思いますので、よろしくお願いします。
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